2025 年 35 巻 2 号 p. 99-105
本邦の成人人工内耳適応基準(2017)における医学的条件は,「聴力レベルが90 dBHL以上,もしくは70 dBHL以上90 dB HL未満で補聴器装用時の最高語音明瞭度が50%以下」とされている.しかし,諸外国では会話音圧での補聴器装用下語音明瞭度が基準を下回る場合に適応とすることが少なくないのが実情である.本研究は当施設で純音聴力検査と語音聴力検査を施行した症例の中で,平均聴力レベルが70~90 dBHLであった111例135耳を対象とし,補聴器装用下最高語音明瞭度ではなく,会話音圧(65 dBSPL)の補聴器装用下語音明瞭度を基準とした場合の対象症例数の変化を検討した.結果として,現在の適応基準では約半数の症例が該当したが,会話音圧での補聴器装用下語音明瞭度を基準とすると約8割が該当し,適応例が約1.6倍へ増加することが示された.本研究結果は今後本邦の人工内耳適応基準の改訂が検討される際の参考データになると考えられた.