2025 年 3 巻 1 号 p. 51-60
精神科リエゾンチームに従事する作業療法士(以下、リエゾンOT)の実践を明確にするために、リエゾンOTの臨床思考を整理することを目的に原著論文に学会抄録や会議録も含めた事例報告レビューを行った。また、リエゾンOTの治療介入の組立と判断を検討するため、作業療法のクリニカルリーズニングの自己評価尺度(以下、SA-CROT)を用いた。4つの論文データベースを用いて、我が国の論文を検索、スクリーニングした結果、対象論文は9件、10事例が選択された。対象者は様々な属性や背景をもつ対象者、目的は精神機能の早期対応であり、介入を通し、リエゾンOTとの関係性構築、円滑な病棟生活、不安の軽減等が図られていた。また、リエゾンOTの実践はSA-CROTの4因子全てに分類され、「実践の文脈を活かす思考プロセス」が最も多かった。今後はリエゾンOTの臨床からクリニカルリーズニングの研究を行い、実際の思考過程やその判断を明確にすることが必要と考えられる。