2003 年 72 巻 7 号 p. 909-913
近年,磁性粒子は生物分離,免疫測定法,固定化酵素,ドラッグキャリアなどバイオテクノロジーの分野で広く研究され,その中のいくつかはすでに実用化されている.今回,われわれは磁石による分離がきわめて困難であった,水溶液中で分散している磁性ナノ粒子の表面に,熱応答性高分子を固定化することにより,わずかな温度変化で容易に磁気分離が可能となる熱応答性磁性ナノ粒子(当社名:Therma-Max(登録商標))の合成に成功した.本稿では,熱応答性磁性ナノ粒子の開発とそのバイオ分野への応用を中心に紹介し,その意義について述べる.