2004 年 73 巻 7 号 p. 947-951
架橋フォトクロミック液晶高分子膜に紫外光を照射すると,高分子膜が光の照射方向に90度以上屈曲し,可視光を照射すると,元の平らな状態に戻ることを見いだした.さらに,直線偏光を用いると,偏光方向に高分子膜が屈曲するので,任意の方向に曲げることができることを初めて示した.これらの現象はいずれも分子が光を吸収して変形し,協同現象により膜全体の変形を引き起こすと考えられ,電池・太陽電池などのエネルギー源やギア・ベルトなどの駆動部分を使わずに,光エネルギーを直接機械エネルギーに変換して屈曲運動を誘起した世界最初の例である.新しいエネルギー変換方法としても,注目されている.