2005 年 74 巻 3 号 p. 338-342
本稿では,GaAs量子ドットにおける近接場イメージング分光の最近の進展について報告する.近接場光学顕微鏡の空間分解能を30nmにまで高めることによって,発光イメージングからGaAs量子ドット内に閉じ込められた励起子重心運動の波動関数の実空間マッピングに成功した.また,励起子発光の空間分布は,励起子分子のそれとは異なっていることが明らかとなった.これは,励起子と励起子分子の再結合発光における分極場の違いから説明できる.ここで示した手法は,量子デバイスをデザインしたり作製したりするための波動関数エンジニアリングの基盤技術として重要であると考えられる.