2006 年 75 巻 5 号 p. 575-578
浮遊帯溶融(FZ)法による固体レーザー用バナデイト単結晶の育成と,そのレーザー特性について紹介する.FZ法はるつぼが不要であるため,高酸素分圧下でのバナデイトの結晶育成が可能であり,結果として,包有物などの巨視的欠陥の生成が抑制される.また,温度勾配が急峻であることから,ドーパントを高濃度添加した結晶を10mm/h以上の高速で育成することもできる.FZ法によって育成されたNd:GdVO4およびNd:LuVO4単結晶を用いて,いずれも高スロープ効率ならびに低しきい値でのレーザー発振が実現されている.この結果は,FZ育成バナデイト単結晶の品質がきわめて優れていることを示している.