ハーフホイスラー化合物は一般に高い出力因子を示し,環境負荷の小さい発電用新規熱電材料として期待される.n型材料としてはMNiSn (M=Ti,Zr,Hf)系化合物が当初から注目され,ZT>1を超える値が報告されている.ここでは,その有効質量と元素置換が熱伝導率に与える影響,および高温で見られる両極性拡散効果による熱伝導率の増加について述べる.一方,p型ハーフホイスラー材料の報告は少ない.ここでは,同様に総価電子数が18となるZrNiSn系,ZrCoSb系およびLnPdSbに着目し,その熱電特性について述べる.n型と同様に高い出力因子が得られており,今後の性能向上が期待できる系である.