2007 年 76 巻 9 号 p. 1037-1040
ダイナミックRAM(DRAM)において重要な問題となっているデータ保持時間の変動現象,VRT(Variable Retention Time)について,筆者らの最近の結果をもとに紹介する.この現象は,データ保持時間が2値化され,その間の遷移が繰り返される双安定性現象であり,DRAMのメモリーセルのトランジスタに含まれるたった1個の双安定結晶欠陥がその原因と考えられる.筆者らはトランジスタ内部の結晶欠陥の観察結果から,その微視的起源をシリコン空孔-酸素複合欠陥(V2Ox 欠陥)と考えた.本稿では,この欠陥とデータ保持時間の2値化がどのように結びつくのかを説明したい.