2008 年 77 巻 12 号 p. 1425-1430
病理研究や創薬などさまざまな分野において,たんぱく質などさまざまな生体分子,およびそこへ導入された薬剤分子などの空間分布を網羅的かつ細胞スケールの高空間分解能で測定する技術が求められている.近年,質量分析による成分分析に成分ごとの空間分布を測定する機能を付加したイメージング質量分析(Imaging Mass Spectrometry : IMS)の研究が盛んに行われている.IMSではあらかじめ想定される物質だけでなく,存在する物質を網羅的に検出することができる.本稿では,IMSに用いられる手法とその要素技術,および筆者らが現在開発を進めている投影型顕微イメージング質量分析装置の概要について述べる.