<目的>
「高齢になっても農作業でいきいき暮らせる健康づくり」をめざし、2009年度農林水産省「農村高齢者の健康支援推進事業」の結果をもとに、2010年同事業の一環として『高齢期前世代における農閑期と農繁期の健康調査』を行った。このうち身体活動量の調査結果を報告する。
<対象>
長野県南佐久郡川上村・南牧村の居住者で、2008年度と2009年度の健診を連続で受診、2009年度の問診票「農作業を1日8時間以上実施している」と回答し、本事業主旨に同意された41歳から64歳の男性21名、女性55名の計76名。
<方法>
農繁期(10~11月)、農閑期(2月)の両時期にヘルススクリーニングを行い、同時に身体活動の内容を問う記入用紙(行動記録用紙)を用いて、両時期の農作業内容を5日間調査、また1軸加速度センサー内蔵の活動計(スズケン製Lifecorder GS)を用いて、身体活動量を調査した。身体活動量のデータ比較は性別で行い、ウィルコクソンの符号付き順位検定を用い有意水準は5%未満とした。
<結果>
身体活動量の結果を表1に示す。全体では歩数、運動量ともに農閑期の方が有意に少なく、昨年度調査を行った高齢者と同様の傾向であった。性別で比較した場合でも同様の傾向で、高齢前世代女性の歩数では明らかな差が見られた。また、行動記録用紙からみた農繁期における農作業内容は、男女ともに多種多様な作業を行っており、昨年度の高齢者では出荷時の箱詰めなど低強度の作業が多かったのに対し、高齢前世代では収穫時の野菜の切り出しなど身体的負担の高い作業が多かった。また平均作業時間を見ると、昨年度調査の高齢者に比べ約3倍の時間農作業を行っていることがわかった。
<結論>
今後、農繁期の中でも特に多忙な時期における実態調査、農作業別の身体的負担やリスクの把握、さらには今後も農作業を継続していくための具体的な支援策を検討する必要があると考える。