応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
77 巻, 12 号
『応用物理』 第77巻 第12号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
巻頭言
企画の意図
  • 『応用物理』編集委員会
    2008 年 77 巻 12 号 p. 1414
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    疾病の早期診断や,新たな生命現象の解明に基づく新しい治療法の開発と確立への要望がますます高まっています.近い将来には,遺伝子情報に基づいた医療が実行段階に達し,自己細胞を利用する再生医療もより身近なものになっていると思われます.このような先端の医療技術の開発は,応用物理学が対象とする研究の成果をこれまで以上に必要にしています.その一つとして本小特集では,バイオイメージングを取り上げ,その最新の研究を紹介します.

    バイオイメージングは,生体内で起きている現象やそれらに付随した生命活動を,外部から生きたまま観察し,画像化・可視化するツールです.生体内での細胞・遺伝子・たんぱく質がつかさどる活動の様態を考察し,生命現象のメカニズムを解明するのに用いられています.バイオイメージングの身近な例は,臨床の現場で疾病の診断に用いられているX線CT やMRI などです.近年はこれらに加え,がんの進行度などを高感度で診断するポジトロン放出断層撮影法(PET)も活躍しています.一方,生命科学研究に目を転じますと,細胞内の分子の運動を可視化するラベル化剤として従来から用いられてきた有機色素や金属錯体に加え,表面に化学修飾を施した半導体ナノ粒子が,蛍光退色が少なく安定でしかも生体内環境でも安全にその機能を発揮する蛍光ラベル化剤となることが見いだされ,それを利用する試みが盛んに行われています.半導体ナノ粒子のほかにもさまざまな無機系ナノ材料を用いた萌芽研究も活発に行われています.またイメージング用の新しい光源として,テラヘルツ領域の新しい光技術をバイオイメージングへ展開する研究も行われ始めました.このようにバイオイメージングの高度化にとって必須の高感度化・高解像度化は,応用物理学が深く関連しその先端研究をリードしている画像化技術,ナノ材料創製,光計測技術を必要としています.本小特集でそれをご理解いただき,多くの会員の皆様に興味をもっていただければ幸いです.

総合報告
  • 磯部 徹彦
    2008 年 77 巻 12 号 p. 1415-1424
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    生体反応を検出する蛍光プローブとしてコア/シェル型CdSe/ZnS量子ドットが開発され,蛍光ナノ粒子がバイオプローブとして注目を集めるようになった.本稿では,量子ドットの構造および光学的な特徴,生体分子とコンジュゲートさせるための表面改質,Cdの毒性などについて解説する.次に,量子ドット以外に研究されている可視および近赤外蛍光を発する希土類ドープナノ粒子,蛍光ナノ粒子を複合化した蛍光マイクロビーズ,蛍光と磁気共鳴によるデュアルモーダルイメージングを可能にするナノ粒子などに関して解説する.

解説
最近の展望
研究紹介
オーラルヒストリー
基礎講座
  • −全球海洋観測網−
    深澤 理郎
    2008 年 77 巻 12 号 p. 1482-1486
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    地球環境変動の予測,とりわけその中でも確度の高い気候変動の予測は,社会を災害から守り永続させていくうえで必要不可欠となりつつある.気候変動予測の信頼性は,地球規模で常に気候をモニターすることによってのみ評価が可能となる.海洋は,地球表面の7割を占め,大気の千倍の熱容量をもち,地球気候決定の最も重要な要素である.したがって,全球海洋モニターは地球気候変動予測のかなめとなっており,海洋の気候研究コミュニティーは1980年代からその実現を目指してきている.

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