2008 年 77 巻 4 号 p. 402-405
蒸着法などの真空技術を用いた物理的方法ではなく,固液界面反応を用いた,有機半導体の完全単結晶薄膜の創製法と,得られた完全単結晶の幾何学的構造,さらには電子デバイスとしての特性を述べる.溶液中から得られたペンタセン,あるいはルブレンの単結晶は数十μmに及ぶ広大な分子的に平坦なテラスを有し,ほぼ完全結晶であった.また,それらの結晶中の正孔移動度は,ほぼ物質固有の数値であり,液相から得られた単結晶は,有機FETの半導体層として十分な特性を有している.