2008 年 77 巻 4 号 p. 406-410
二次元に広がった厚さ10nm程度のシート状構造体が基板にほぼ垂直に成長するカーボンナノウォールは,立ち並んだグラファイトの薄い壁と,その広い表面積が特徴で,ユニークな構造や良好な電気伝導性・熱伝導性を利用したデバイスへの応用が期待される.これまでに培ったラジカル密度計測・制御技術を生かし,フルオロカーボンプラズマに水素原子を注入するラジカル注入CVDを開発し,カーボンナノウォールの形成を行い,構造の制御を実現した.CVDプロセス中に,プロセスに有効なラジカルを高精度に注入する方式は,ナノテクノロジーの量産化プロセスには有効な技術である.