2008 年 77 巻 6 号 p. 643-649
ナノ電極間を架橋する有機分子,フラーレンなどの架橋系の輸送現象に関する理論解析を行った.原子細線では量子化コンダクタンスによりコヒーレント伝導が確認できるが,電極とのボトルネックが強くなるにつれ,多重散乱による振動が透過スペクトルに現れ,さらに共鳴トンネル過程に特徴的なスパイク型スペクトルになる.架橋分子の共鳴トンネルには著しい分子内ループ電流の生成など,興味深い現象が期待できる.電子と分子振動,外部電磁場などとの相互作用が増すにつれ,コヒーレントな伝導から散逸的なあるいは粒子的な伝導へと移り変わる.分子振動との相互作用について,ポーラロン的な状態への移行と輸送現象への反映を解析した.エキシトンポラリトンなど光応答系との関連についても述べた.