2009 年 78 巻 9 号 p. 878-881
日本半導体産業の凋(ちょう)落(らく)が叫ばれて久しい.研究開発は盛んだが,企業の業績に結びつかない.研究レベルが低いのではなく,内容が産業の状況とかみ合っていないことが原因だ.微細化の目的が性能向上よりも低コスト化に移行しているのに対し,新技術はコストを押し上げる.だから,せっかく研究開発して新技術を生み出しても,容易に採用できない.研究開発を短期的な産業界の競争力向上に結びつけたいのであれば,半導体をけた違いに安く作る方法など実状に即した方向に変える必要がある.また,微細化限界以降の新しい価値の創造を目指すのであれば,短期的な実用化にこだわらない長期的な視点が必要だ.いずれにしても研究には,何のために半導体を作るのかというビジョンを問い直す必要がある.