2010 年 79 巻 1 号 p. 48-53
今世紀に入りわが国で誕生した新超伝導体,二ホウ化マグネシウム(MgB2)と鉄ニクタイド系は,「BCS理論の限界」を上回る高い超伝導転移温度をもつほか,マルチギャップ超伝導に由来した特異な性質を示す.さらに電磁的異方性が低く,きわめて高い上部臨界磁場をもつことから,次世代超伝導材料として医療用MRIなどへの応用が期待されている.本稿では,上部臨界磁場と臨界電流密度に及ぼす,マルチバンド効果と結晶粒界の影響に関する著者らの最近の研究を紹介し,従来型金属系や銅酸化物系との比較をもとに,MgB2 と鉄系超伝導体の超伝導材料としての特徴と実用化への展望について議論する.