2011 年 80 巻 7 号 p. 557-567
計算科学とハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の歩みを振り返る.計算科学はコンピュータ・シミュレーションを主要な手法とする研究分野であり,複雑な系のミクロな法則からマクロな現象をHPCによって予言することができる.コンピュータの性能は60年余りの間に数兆倍の向上を実現した.この向上を可能にしたコンピュータ技術について解説する.シミュレーションを,数値計算法,系の構成要素,時間依存性,基礎となる物理法則などの観点から類型化し,俯〔ふ〕瞰〔かん〕的な描像を与える.計算科学を支えるペタフロップス(PFLOPS)のコンピュータが実現した今,各分野の計算科学者がHPCの研究者と密接に連携することが重要である.