2011 年 80 巻 7 号 p. 579-584
旧来のスーパコンピュータは「電力性能比を犠牲にしてまでもともかく高速なマシンを」という設計思想であったが,今や全く逆転し,「普通のコンピュータより更に省エネ度を高める」のが設計の最大目標となっている.それは,過去25年間スーパコンピュータの性能進化が「ムーアの法則」を超える速度で進んでいたが,その主要因となる超並列化により,マシンが年々実質的に大きくなっており,大幅な省電力化を行わないと性能向上のペースを今後保てないからである.本稿では,我々のスーパコンピュータにおける省電力化の取り組みをプロジェクト「JST-CREST ULP-HPC」のコンテクストで紹介し,その成果の具現化である2010年11月稼働のTSUBAME2.0で実際の数値を示す.TSUBAME2.0は我が国初のペタフロップススーパコンピュータであるが,2010年11月のスーパコンピュータの省エネランキングであるThe Green 500において,運用スーパコンピュータとしては世界一位であると認定された.