生物学の進化によりタンパク質超分子の構造と機能の理解が深まってきている.バイオミネラリゼーション研究(生物的無機材料合成)でも,タンパク質表面と無機イオンや材料表面の動的相互作用をナノ領域で明らかにしつつ,バイオ+無機材料複合体やナノ粒子,ナノワイヤの作製ができるようになってきた.得られる複合体はナノメートルオーダで制御でき,量子効果や触媒作用増強などの機能発現も確認されることから,ナノテクノロジーの基本部品として注目されている.さらにこの複合体は自己組織化能力をもつことから,トップダウン加工では作製できないエレクトロニクスデバイスのナノ構造作製が試みられ始めている.いくつかのグループでは既にそのナノ構造を生かしたメモリ,単電子トランジスタ,電池電極,量子効果素子などが実現されている.このバイオとナノテク,エレクトロニクスの融合はまだ始まって間もないが新しいフロンティアが拓【ひら】かれつつある.