2017 年 86 巻 12 号 p. 1065-1068
リチウムイオン電池は,充放電可能なエネルギー供給源として日常生活に欠かせない2次電池である.電極材料は,電池の容量を決定する重要な材料であり,高容量化や充放電高速化などを標的として,今なお新材料の開発研究が世界中で行われている.我々は,大環状芳香族分子が固体電解質を用いた全固体リチウムイオン電池の負極材料に適用できることを見いだし,その電気容量が黒鉛電極の2倍に及ぶ材料となることを見いだした.この新しい分子材料は,ちょうど孔(あな)のあいたグラフェンのような分子構造をもっており,その集積により理想的なナノ細孔を形成することが高い電極性能の鍵であった.