日本食品科学工学会誌
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技術論文
牛乳タンパク質の加工に伴う組成変化
内藤 宙大山田 千佳子和泉 秀彦
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 66 巻 6 号 p. 195-200

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抄録

乳加工食品中のタンパク質の組成はその加工工程によって変化することが考えられる.本研究では乳加工食品であるヨーグルトおよびチーズのタンパク質の組成について解析した.

まず,タンパク質の定量解析を行った.次に,2種類のヨーグルトおよび5種類のナチュラルチーズからPBSにて塩溶性タンパク質,SDS溶液にて不溶性タンパク質を抽出し試料とした.その試料をSDS-PAGE,イムノブロット,および輝度解析にてタンパク質の組成を解析した.

ヨーグルトは,牛乳のタンパク質の組成と似ていた.セミハードおよびハードタイプのチーズは,塩溶性のタンパク質が検出されなかった.フレッシュタイプ以外の熟成の工程があるチーズは,未分解の αs1-CNが低値を示した.フレッシュタイプのチーズは牛乳のタンパク質の組成と似ていたが,乳清が排出された分,タンパク質量に対する αs1-CNの割合が増加した.また,各種チーズ中の β-LGは牛乳中より低値を示した.

このように,乳加工食品中のタンパク質の組成が加工によって受ける影響は,加工工程によって異なることが明らかとなった.これらの結果は食事指導の基礎資料として,タンパク質量だけでなくタンパク質組成を理解するために有用だと考えられる.

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© 2019 日本食品科学工学会

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