CT,MRI,超音波,PET,内視鏡,顕微鏡など,各種の診断装置(モダリティ)が医療分野で実用化されている.それらは多くの場合,独立に用いられているが,複合的に用いることで診断能の向上が期待できる.また,同一の原理に基づき,汎用機に比べて高分解能で計測する特殊装置も考えられるが,スケールの異なる装置間での信号の類似性・非類似性の情報は汎用機からミクロな物性を予測する際に利用できる.我々は,複数モダリティを統合的に利用する研究や,スケールの異なる装置間の信号の分析などを行ってきたが,現在はこれらをマルチモーダル計測医工学と呼称し,学内のプロジェクトとして幅広く展開している.本稿では,この取り組みとして進めている研究開発のうち,特に超音波,MRI,病理画像を中心に据えて,その研究内容を紹介する.