2018 年 87 巻 5 号 p. 357-361
マルチチャネル分光器は,コンパクトかつリアルタイムに計測が可能な分光器械であるため,ライフサイエンス分野から天文学の分野に至る広い分野で盛んに活用されている.さらに最近では,IoTをはじめとした使用環境の多様化からの厳しい仕様制限に対応するため,分光器としての従来の基本性能に加えて,コストを含む装置完成度への要請も多種多様となってきている.これらの状況を踏まえて,本稿では,マルチチャネル分光器の性能改善の最近の新しい試みについて,ヴァーニア技術(副尺技術)に関連した考え方を利用した筆者らの研究を中心に概説する.