2018 年 87 巻 8 号 p. 576-582
高電場や放電が植物の生育に及ぼす影響は,科学技術が発達する前から経験的に知られており,系統的な研究も18世紀より行われてきた.近年,従来の電気泳動や細胞融合,電気穿孔(せんこう)法などによる品種改良(育種),農薬の静電散布などの農業関連の技術に加え,植物の発芽や生長の制御,担子菌(きのこなど)での子実体形成促進,培地の殺菌などプレハーベストへの利用や収穫物の鮮度保持など,ポストハーベストへの利用が進められている.ここでは,盛んになりつつある高電圧やプラズマの農業・水産・食品分野への利用を俯瞰(ふかん)し,それらが利用する高電場やプラズマの物理・化学的特性と,生物との関係の理解を深める.