硫化水素(H2S)において超高圧下で200Kを超える超伝導転移が報告され,金属水素化物の物性が大きく注目されている.それに伴い,単結晶を用いた詳細な物性評価や電子デバイス応用が期待される.しかし,バルク単結晶やエピタキシャル薄膜の合成例は少なく,金属水素化物の電子物性,さらにはデバイス応用に関する研究は,酸化物や窒化物と比較すると極めて少ない.そこで筆者らは,エピタキシャル薄膜合成技術の確立と新機能探索の取り組みを始めた.本稿ではそれらについて概説し,「水素化物ならではの面白さ,難しさ,展望」について紹介する.読者が水素化物薄膜に興味をもつ一助になれば幸いである.