2020 年 89 巻 1 号 p. 25-29
有機LEDを代表とする有機半導体素子の動作過程においては,電流や発光の主役となるキャリヤや励起子のみならず,電子正孔対が中間状態として発生すると想定される.しかし,電子正孔対を観測する技術が確立されてこなかったこともあり,その振る舞いを追跡する研究は進展してこなかった.本稿では,電流や発光計測を介した電子スピン共鳴(ESR)測定が電子・正孔対の選択的プローブに有効であることを示す.これらの技術は,動作状態からの非破壊計測を可能とし,素子の動作過程に関する新たな情報を提供するものと期待される.