応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
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分子とイオンと隙間でつくる金属高分子
山下 侑竹谷 純一渡邉 峻一郎
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2020 年 89 巻 10 号 p. 594-597

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抄録

高分子半導体は,化学的にも機械的にも柔軟で,分子設計および集合体のチューナビリティに富み,室温付近の溶液プロセスで容易に薄膜形成が可能であることから,フレキシブル・プリンテッドエレクトロニクス材料として期待されている.多くの無機半導体と同様に,高分子半導体においても不純物ドーピングを用いてキャリヤ密度の制御が可能であるものの,周期的な結晶性をもたない高分子半導体において,不純物ドーピングは異種分子の混合を伴い,高キャリヤ密度を達成することは困難であった.本稿では,1次元的な高分子鎖のねじれや絡まりの少ない剛直な高分子骨格を有する結晶性高分子半導体に焦点を当てる.この数nmサイズの空間に機能性分子・イオンを格納・制御する“分子インプランテーション”を用いることで,単一分子では決して得られなかった新規的な電子機能性を開拓し,高分子において金属のような電子状態を実現するに至っている.特に,単純・単一な化学操作の「イオン交換」現象を用いて,半導体プラスチックの化学ドーピングを精密かつ高効率に制御することに成功し,緻密に制御されたホスト‐ゲスト構造中で電子は周期ポテンシャル下でコヒーレントなバンド伝導性を示し,典型的な金属が示す電子物性を満たしつつあることが明らかとなった.

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© 2020 公益社団法人応用物理学会
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