2020 年 89 巻 11 号 p. 638-643
生体ガス(呼気,皮膚ガスなど)には,疾病や代謝などに伴う揮発性成分(有臭,無臭)が含まれ,新たな非侵襲マーカとして期待されている.筆者は,その発生機序に起因する代謝酵素などを用い,ガス情報を光情報に変換する「バイオ蛍光式ガスセンサ」を開発した.本センサにより糖尿病や脂肪代謝の指標である呼気アセトンの計測が可能で,糖尿病患者では有意差をもって濃度が高いことが示された.さらに,皮膚ガス用イメージング装置を開発し,経皮エタノールガスの画像化を実現するとともに,経皮ガス計測に適する身体部位の探索を可能とした.本センサ技術は,疾病の早期診断や疾患部位の特定,非侵襲での病態・代謝評価に貢献できると考えられる.