応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
解説
ヘリウムイオン顕微鏡を用いた低ダメージ観察・評価とsub-10nm微細加工技術
小川 真一
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2020 年 89 巻 11 号 p. 644-650

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抄録

2006年,ヘリウムイオン顕微鏡(HIM)が米国で実用化されて以来,顕微鏡自体の改良とともに,その応用技術の研究開発が世界各所で行われている.HIMは1951年にE.W. Mullerらが提案した電界イオン顕微鏡(FIM)で用いられる,尖鋭(せんえい)に加工された観察用金属試料を逆にイオン源として利用した顕微鏡で,ヘリウムガス雰囲気中の尖鋭金属イオン源先端部から電界引き出ししたヘリウムイオンをレンズ系で収束して試料に照射し,試料表面で発生する2次電子(SE),反射イオン,ルミネセンスなどを用いた試料表面近傍構造の観察評価,およびイオン照射そのものによる電子薄膜材料の高空間分解能物性制御,10nmサイズ以下の薄膜試料加工が可能である.走査型電子顕微鏡(SEM)に比べ,チャージアップ・試料ダメージが少ない,焦点深度が深い,などの特性を用いたシリコンLSI構造・材料,生体組織の観察・評価や,グラフェン膜のnmオーダでの物性制御・微細加工,素子試作への応用に関し,筆者らの研究結果を基に解説する.

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© 2020 公益社団法人応用物理学会
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