2020 年 89 巻 12 号 p. 715-718
現在の磁場配向法は,「回転変調磁場」を利用することで,“室温”で擬似単結晶(3軸結晶配向)組織を形成できる技術である.また,遠隔力ゆえ非接触の配向が可能で複合材料の配向にも適する.日本発の液体ヘリウムを使わない伝導冷却式超伝導電磁石の登場により,強磁場を利用した異方的な弱磁性(常磁性や反磁性)物質の配向も比較的容易である.本稿では,主に2つの話題を提供する.第1の話題として,回転変調磁場を使うとなぜ3軸結晶配向が可能となるのかなど,3種類の磁場配向法の原理について紹介する.特に,回転磁場の配向条件や回転(変調)磁場配向における現状の課題について述べる.第2の話題として,材料製造プロセスとしての回転磁場の課題を踏まえて筆者が開発した“リニア駆動型回転変調磁場発生装置”を紹介する.これは,直線的かつ連続的に搬送され,配向を必要とするシート状の製造物に対してどのように回転磁場を印加するのか,という実用上の課題に応える装置である.3軸結晶配向法としてエピタキシャル成長が標準的であるが,磁場配向法はこれとは異なる特徴を有することから,エピタキシャル成長では実現が困難で配向を必要とする材料に活用できる可能性がある.