応用物理
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Print ISSN : 0369-8009
研究紹介
ワイル反強磁性金属Mn3Sn薄膜の室温テラヘルツ異常ホール効果
松田 拓也肥後 友也神田 夏輝松永 隆佑
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2021 年 90 巻 12 号 p. 752-756

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抄録

反強磁性体のもつスピンはテラヘルツ周波数帯で動作するため超高速スピントロニクス素子開発の観点から近年注目を集めている.しかし強磁性体の場合と比べて外場に対する応答が非常に小さいため,スピン秩序の情報の読み出しが難しいことが実用化を阻んでいる.最近,非共線型のスピン配置をもつ反強磁性金属Mn3Snにおいて,強磁性体に匹敵する巨大な異常ホール効果を室温で示すことが明らかにされた.また,Mn3Snはワイル粒子を内包するワイル半金属としてその電磁応答も注目を集めている.本研究では,高精度偏光分解テラヘルツ時間領域分光法を用いて,高品質Mn3Sn薄膜のテラヘルツ異常ホール効果を調べた.その結果,テラヘルツ周波数帯でも大きな異常ホール効果が生じ,ほぼ無散逸にホール電流が流れることや,スピン秩序情報が半年以上たってもなお保持されることなどを明らかにした.本研究により反強磁性磁気秩序を電流として1ps以下の時間分解能で読み出すことが実現した.今後はテラヘルツ電磁場による磁気情報の高速書き込みの実現とともに,ワイル粒子の非平衡ダイナミクスを調べる研究が加速することが期待される.

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© 2021 公益社団法人応用物理学会
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