応用物理
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最近の展望
軟弱地盤の特徴を考慮した月・惑星探査ローバの移動に関する研究とその応用
飯塚 浩二郎
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2022 年 91 巻 1 号 p. 22-26

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抄録

米国の有人月面着陸計画(アルテミス計画)や(国研)宇宙航空研究開発機構(JAXA)のはやぶさ2など世界各国では月・惑星探査が大変注目されている.その中でも表面状態・状況を直接探査実現することができる自律移動車両(ローバ)は,現在および近未来の重要なツールとなる.実際に火星にはアメリカや中国の探査ローバが送られ,多くの有益な情報が獲得されている.月・惑星探査は主に車輪型のものが多く採用されているが,月や火星表面上はレゴリスと呼ばれる軟弱地盤で覆われており,走行時には車輪下の地盤は破壊されやすい.つまり,車輪回転時は滑りや沈下現象が起こり,探査ローバは走行悪化となりやすい状態が継続される.そこで,この滑りや沈下の特徴を車輪と軟弱地盤の関係からつかみ,走行悪化となりづらい車輪(柔軟車輪)や地盤の特徴を利用したロボット(パイル貫入型ローバやPush Pull Locomotionローバ)を紹介する.さらにこれらの成果から,地上用技術への応用として,被災地などのがれきが多く介在した状態でもパンクの危険性がなく,軟弱地盤走行が可能であり,かつ通常舗装道路を走行できる空気レス可変剛性車輪を開発した.また,昨今の農業従事者の平均年齢が上昇する中,安全な作業を目指したキャンバ角可変草刈りローバを紹介する.

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© 2022 公益社団法人応用物理学会
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