近年,太陽光発電の用途は,大規模な事業用電源にとどまらず,分散型電源として新規市場への展開が望まれている.本研究では,市場開拓を目指した分散型電源応用に向けて,フレキシブルかつ軽量な両面受光Cu(In,Ga)Se2 (CIGSe)太陽電池の開発を進めている.CIGSe太陽電池の機能開拓に向けては,良質なCIGSe光吸収層を得るために要する600℃程度の加熱温度に伴い生じる,基板や透明電極材料の熱的劣化が問題となる.我々のグループで開発した,CIGSe太陽電池をMo付きガラス基板から引き剝がす「素子剝離法」は,このような熱的劣化を回避しつつ,デバイス機能を拡張することができる.本稿では,Mo/CIGSe界面で形成するMoSe2の層間劈開(へきかい)に着眼した素子剝離技術とその応用について紹介する.