2022 年 91 巻 4 号 p. 216-219
塗布型で高効率なペロブスカイト太陽電池は,現在広く使われている結晶シリコン太陽電池と比較して,低コスト・軽量・フレキシブル化が可能などの特徴により,これまで太陽電池の設置が困難であった場所への展開が期待されている.ラボレベルの小面積セルの変換効率は,結晶シリコン太陽電池とほぼ同等レベルにまで到達しているが,実用化に向けては長期信頼性の確保や大面積化が課題である.これらの課題の克服には,鉛ハライドペロブスカイト材料自身の安定性確保や,高品質なペロブスカイト結晶の製膜が必要である.筆者らは,鉛ハライドペロブスカイト材料にセシウムやルビジウムといった少量のアルカリ金属を添加することで,材料の安定性や結晶化プロセスを制御できることを見いだし,ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けて大きく前進した.本稿では,鉛ハライドペロブスカイト材料へのこれら添加元素の効果と実用化に向けた開発の展望について紹介する.