金属間化合物は特有の電子状態と表面規則構造を有するため新奇な触媒になりうる.三元系の金属間化合物群であるホイスラー合金(X2YZ)は,X,Y,Zの組み合わせが豊富なため高機能触媒が眠っていると期待され,また,元素置換の自由度が高いため触媒機能制御が可能と考えられる.触媒としては全く未知だった本合金の触媒機能について,金属学的に合成した粉末触媒を用いて研究してきた結果,アルキン選択水素化に優れる触媒を発見し,元素置換による触媒機能制御を達成した.また,触媒機能におけるX,Y,Zの役割や耐久性についての知見も蓄積してきた.さらに,触媒の実用的形態であるナノ粒子の合成にも成功した.