2025 年 94 巻 2 号 p. 89-93
物質は光の電場と磁場に対して異なる応答を示すため,円偏光状態の光をナノ粒子に照射すると,一般に光のヘリシティ(円偏光の回転方向)は保存されない.ところが,光の電場と磁場に等しく応答する電磁双対性を持つ“dual”なナノ粒子では,全方向において散乱光のヘリシティが保存されナノ粒子表面に円偏光の近接場が形成される.円偏光の近接場はキラル分子の円偏光二色性を増強する技術などへの応用が期待される.本稿では,可視~近赤外波長域に低次のMie(ミー)共鳴を有する直径100~200nmの結晶シリコンのナノ粒子が特定の波長で“dual”な粒子として振る舞うことを示す結果を紹介する.さらに,筆者らが開発したシリコンナノ粒子のコロイド溶液において,光のヘリシティが保存されることを示した研究成果を紹介する.