2026 年 95 巻 10 号 p. 556-560
センサ近傍で高度な処理を行うエッジAIには,極限までの省電力性と環境への配慮が求められる.そこで我々が着目したのは,光センサの評価指標から長年忌避されてきた応答の遅さである.我々は,この遅延を過去の光入力を保持する短期記憶として捉え,情報処理に活用する光電子シナプス素子を創製した.本稿では,ZnO微粒子とセルロースを組み合わせたディスポーザブルシナプス素子,時系列入力光をエネルギー源として利用する自己発電型シナプス素子,多色識別を実現する双極性シナプス素子について紹介する.鈍さを知能へ変える本技術は,次世代マシンビジョンの新たなパラダイムを切り拓(ひら)くものである.