抄録
ラマン散乱分光は基礎物理・化学の分野にとどまらず工学や医学の分野にも応用されるようになったが,特に固体材料の評価に有効であることが認識されてきている.本稿では固体の評価に必要なラマン散乱の基礎概念を述べ,筆者らの研究を中心にイオン注入やレーザーアニールした半導体の結晶性がラマン散乱測定からどのようにして評価されるかを概説する.さらに,アモルファスの局所的秩序,固体の表面・界面,酸化膜の状態,微粒子および低次元物質の形状効果と次元性,天然・人工超格子の周期性,勇子錯体の電荷移動量の評価について案例を引用して紹介する.