1984 年 53 巻 8 号 p. 695-699
イオンビームを用いた薄膜形成法は膜形成が高真空中で行なわれるために,例えば,いわゆるイオンプレーティングのようにプラズマ中で直接イオンを利用するプラズマ法に比べて放電維持用ガスや放電状態の影響がなく良質の被膜形成が行なえる.このイオンビーム法と他のピームまたは蒸着法とを組み合わせた,いわゆるハイブリット方式ではそれぞれのもつ特長の相乗効果が期待できる.また,無機物質のみならず有機物質も含めた新しい材料やデバイスの開発についてもハイブリットの方法は大きな魅力をもっている.本稿では,こうした新しい材料・デバイスの開発も含めて,イオンビームを用いた薄膜形成技術とその将来の展望について述べる.