1990 年 59 巻 8 号 p. 1057-1064
生体特に脳から発する極微弱磁場をSQUIDで検出し,脳内部を非接触で探るという学問研究および臨床研究においては,地磁気以下の低磁場もノイズの対象となる。これを下げるには強磁性磁気シールドでは十分ではない.特に脳磁気は低周波領域にあるが,この領域における強磁性磁気シールド効果は貧弱である.それゆえこの目的のためには超伝導磁気シールドに依らなければならない.ここでは酸化物超伝導容器を試作し,磁気シールド効果を測定した結果, 1×10-5~3×10-4T (T:テスラ) 10~1000Hzにおいて,外部磁場を6桁下げうることを報告する.これは特にMEG (Magnetoencepha-lography, 脳磁図)の手法に有効であるとみられる.