1992 年 61 巻 12 号 p. 1264-1268
走査トンネル顕微鏡 (STM) を用いたSi表面の原子単位での構造制御の方法とその機構について述べる.Si(111)-7×7表面の任意の位置からSi原子を1個ずつ引き抜くことができる. Si(001)-2×1表面の場合には,一般にダイマーを形成している2個の原子が同時に引き抜かれる.いずれの場合にも,結晶学的に異なる位置のSi原子は異なる確率で引き抜かれ,それはそれらのSi原子の結晶学的安定性と密接に関係している,Si(111)-7×7表面の場合について,引き抜かれたSi原子の表面への再付着と,そのSi原子の意図的な移動の実例も示す.