応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
理科好きの子供を育てる教師を育てる
教員養成系大学(学部)における物理学教育
神志那 良雄
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1995 年 64 巻 3 号 p. 269-271

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抄録

若者の理科離れ(物理離れ)が激しいと雷われて久しい.現在では,小学校高学年においてすでに,理科離れは始まっている.その原因の一つは,小学校の先生自身の理科離れにある.文系に分類されている教員養成系大学(学部)に進学する学生の大半は,高等学校で物理を選択していない.そのような学生は, “物理は難しい,面白くない”という印象を持っている.その気持ちを持ったまま卒業して,小・中学校の先生になり,理科嫌いの子供を拡大再生産する.このような図式が現実に成り立っている.この悪循環をどこかで断ち切らねばならない.最も効果のある解決策の一つは,理科好き(物理好き)の教師をたくさん,小・中学校に送り込むことである.中学校以来“物理”から遠ざかっいた大学生を4年間で“物理は面白い”と気付かせるためには,教員養成系大学(学部)における物理教育を考え直さなければならない.質点の力学から始めるという従来の型にはまった物理教育の考えから脱却しなければならない.身近な“物理”を取り上げ,問題解決学習を体験させることが必要である.さらに,“物理”━ロマンを感じさせることが必要である.

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© 社団法人 応用物理学会
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