1996 年 65 巻 3 号 p. 270-273
導電性高分子はドーパントの添加により金属並の高い導電性が発現する.しかし,電気抵抗の温度依存性は,高分子特有の乱雑さに阻まれ半導体的なものが観測される.われわれは,乱雑さに起因する半導体的部分を迂回し,本来の電気的性質を調べる目的で, Voltage-Shorted-Compaction (VSC) 法による電気抵抗と電子スピン共鳴 (ESR) の二つの実験を行ってきた.その結果,高分子やドーパントの種類に依存した多様な金属的な温度依存性が存在することが明らかになった.