応用物理
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SiCにおける表面構造の本質的乱れ
原 史朗大串 秀世
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1996 年 65 巻 7 号 p. 737-741

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抄録

清浄な3C-SiC (001) 単結晶のSi飽和 (3×2) 再配列構造を有する表面において,構造的な乱れが観測された.表面格子の3×2の周期性は完全に保持されていながら,おのおののセル内で単位構造の配置に乱れが存在している,このような乱れは,セル型乱れと呼ばれる.セル型乱れは,これまで固体表面で観測されたことはなかった.セルを構成する2つのSiダイマーは互いにバックリングしており,これが乱れの直接原因である.バックリングの方向は,おのおののセルで独立に決まっており,表面全体にバックリングの配列に関するランダムネスが広がっている.この乱れは,セルの独立性に起因する低次元性によって生まれた, intrinsicな乱れである.

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© 社団法人 応用物理学会
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