応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
大学教育における物理学と数学の接点
兵頭 俊夫
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1997 年 66 巻 3 号 p. 276-278

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抄録

物理学は,数学を使って自然を説明するという特徴を持っている.これは,ニュートン以来のもので,これによって物理学は守備範囲を以前の脅然哲学より狭くしたが,他方において厳密さを獲得した.この特徴のために物理学の講義は理論に終始しがちである.しかし,その本来のその目的は自然の理解にあるのだから,自然界に起こる物理現象の説明,できればデモンストレーションから始めるべきである.それに続く理論的説明に数式が登場する.そこでは,数学の定理と,実験で検証されてきた物理法則とを区別することが大切である.また,学生が正しい概念とその操作法をどれだけ理解するかの「歩留まり」が大切であり,教えすぎてしまうと,これが低くなる.

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© 社団法人 応用物理学会
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