応用物理
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超伝導空胴による大強度陽子加速器の開発
大内 伸夫斎藤 健治
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1999 年 68 巻 4 号 p. 415-418

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抄録

原研では,大出力核破砕中性子源による中性子科挙研究計画を推進している.中性子源を駆動するための大強度陽子加速器は,既存の陽子加速器の約10倍のビームパワーが要求される.その実現のためには,ビームロスによる放射化の抑制,建設および運転コストの低減が重要である.これらを満足するものとして,主加速部に超伝導陽子リニアックを採用することとした.超伝導空胴の陽子加速器への適応は世界初の試みであり,その設計・開発を高エネルギー加速器研究機構 (KEK) と共同で進めている.超伝導陽子加速器システムの概念設計においては加速器構成の最適化を行い,それをもとに超伝導加速空胴の設計を行った.また,超伝導空胴自身の開発では,空胴性能試験用テストスタンドを製作するとともに,単セル空胴の試作・試験を行った.試験結果は良好であり,陽子用超伝導空胴実現の見通しを得た.本研究紹介では,超伝導陽子リニアックの概念設計と超伝導加凍空胴開発の現状について述べる.

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© 社団法人 応用物理学会
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