抄録
高温超伝導体の固有ジョセフソン接合では,これまでの理論では説明できない現象が観測されている.その一つであるジョセフソン・プラズマ現象は,その周波数が100GHzからTHz帯にあり,THz帯動作電子デバイスが期待できる.ここでは,最近発見されたいくつかの固有ジョセフソン効果の諸現象について述べるとともに,その応用の可能性について検討する. 特に,磁界中の固有ジョセフソン接合に発生するミクロンサイズの磁束量子の高速運動に伴うTHz波帯発振器や,ミリ波・サブミリ波帯ミキサーなどの検出器の実現が期待できることを示す.また,新しく発見された層状構造に起因する単電子対トンネル効果は,将来の低消費電力,高速な超伝導メモリーへの応用が期待できる。