日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PB-026
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2. 人格
島に暮らすノラネコのヒトへの「友好性」
*今野 晃嗣岩崎 美奈子芦沢 花織木村 広大坂本 沙貴若林 まなみ佐藤 史菜石井 直幸田中 菜々守山 歩美子庄司 憲太
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抄録

本研究は,特定の飼い主をもたず野外で自由に暮らしているノラネコFelis catusを対象に,ネコの性格特性の時間的および通状況的な一貫性について調べた。調査地のノラネコは食料をヒトに依存していることから,ヒトとの個体関係の構築も重要である。そこで本研究では,ネコのヒトに対する「友好性」の性格特性を実験的に評価した。具体的には,実験者が食物刺激を提示したときのネコの接近行動(テスト1)と,実験者がネコに接近したときのネコの回避行動(テスト2)の2種類の行動テストを行った。まず,同じ個体に対して約1年の間隔をあけてテスト1とテスト2を行ったところ,それぞれのテストの評価値の相関係数は高く,再検査信頼性は十分であることが示された。次に,テスト1とテスト2の評価値の関連を調べたところ,2つのテスト間に有意な相関関係はみられなかった。そのため,少なくとも本研究の2種類のネコの「友好性」指標については通状況的一貫性があるとはいえなかった。以上の結果は,ヒトとニッチを共有する家畜動物が対人場面でみせる性格特性は,時間的には安定しているものの,周囲の状況や刺激の特性に応じて変化することを示唆している。

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© 2020 公益社団法人 日本心理学会
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