主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
神経生理学やトラウマ研究等の進展を受けて,身体体験に着目した心理療法や心理教育の重要性が広く認識されつつある。そこでは身体への意識や身体への信頼,マインドフルネス等が鍵概念となっている。今日,高等教育においても全人的発達の支援が要請されていることから,本研究では,大学の教養教育のなかで8週間の身体心理教育プログラムを開発し,その効果に参加者の先行経験や普段の身体体験が及ぼす影響を探索した。プログラムには2年次生59名が2班に分かれて参加した。効果評価のために,事前・事後で身体意識,身体信頼,マインドフルネス,レジリエンス,共感性,健康面の内的統制,汎用的技能の自己評価を求めた。先行経験等の把握のためには,身体に関わる実践経験(スポーツやダンス,ヨガや瞑想,武道や芸道など)を自由記述で尋ねるとともに,ストレスや病気,学校体育や健康管理等に関するチェックリストへの回答を求めた。その結果,身体に関わる実践経験が長いほどマインドフルネスと共感性の向上に正の影響を与え,健康感覚が高いほど身体意識,マインドフルネス,レジリエンス,健康面の内的統制,汎用的技能の向上に正の影響を与えることが示唆された。