主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
相互依存性の高い夫婦関係において,一方の主観的幸福感(人生満足度,ポジティブ感情,抑うつを含むネガティブ感情)は他方の主観的幸福感に波及しうる。本研究の目的は,夫婦の主観的幸福感の相互影響を検討することであった。研究1では,夫婦カップル953組に対して横断調査を行ったところ,人生満足度,ポジティブ感情,抑うつに関する夫と妻の級内相関は平均.43であり,夫婦の主観的幸福感は互いに類似することが示された。研究2では,夫婦カップル1,348組に対して12ヵ月ごとに3時点の縦断調査を行ったところ,人生満足度,ポジティブ感情,ネガティブ感情からなる主観的幸福感に関する夫と妻の級内相関は平均.45であり,研究1の結果が再現された。さらに,縦断的行為者-パートナー相互依存性モデルによる分析を行ったところ,夫(妻)の主観的幸福感が1年後の本人の主観的幸福感に正の影響を与える行為者(個人内)効果を統制してもなお,夫(妻)の主観的幸福感が1年後の相手の主観的幸福感に正の影響を与えるパートナー(個人間)効果がすべての時点で認められた。これらの知見は,配偶者を幸せにすることが配偶者に留まらず自身も幸せにすることを示唆している。